本紙は本学の留学制度について調査し、グローバルラーニングセンター(GLC)の渡部由紀准教授に留学の実態と意義について話を聞いた。また、本学が受け入れている留学生2人にインタビューを行った。
留学のチャンス生かして
本学の留学プログラムには短期海外研修(SAP、FL)や交換留学、院生対象の共同研究プログラムなどがある。渡部准教授によると、コロナ禍で停滞していた国際交流が再開した現在で、現地留学を志向する学生が増えている。経済的理由や研究の都合により現地留学が難しい学生にとって、これまでに開発されてきた各種のオンライン留学プログラムが有力な選択肢となる。実験や研究で国内を離れられない理系学生の中には、複数のオンラインプログラムに参加して国際経験を積む人もいるという。
GLCが本学の学部1、2年生を対象として2019年と22年に実施した調査では、留学をためらう理由として留学費用や語学力、海外生活の不安を挙げる学生が多かった。留学に関する情報収集や応募手続き、渡航準備を負担に感じる学生も少なくなかった。
このような懸念に対応する支援制度として、豊富な国際経験をもつ教員に直接相談できる留学アドバイジング、留学経験者が学生の視点からサポートを行うグローバルキャンパスサポーターのほか、各学部、研究科に設置されているサポートオフィスが存在する。
「多様化が進む現代において、異なる文化的背景を持つ人々と関わる経験はますます重要になる」と話す渡部准教授。留学を志す学生に向けては、「留学を目的としてではなく、将来への通過点として考えてほしい。自分の能力に不安がある人にこそ、留学は足りない力を伸ばすチャンスになる」と思いを述べた。
―理系学科においてUCSDと東北大の違いは
東北大では専門授業に加え幅広い全学教育が行われているが、UCSDには専攻分野の主要科目を深く勉強するシステムがある。科目数は比較的少ないが、成績の評価は厳しく、チームワークが必要な課題も多い。
―アメリカでの大学生活はどのようなものか
図書館で深夜まで勉強する日が多かったが、日本人留学生の友達とカリフォルニア州を旅していた休日は最高だった。
―日本人留学生の実態は
アメリカで一生の友達ができた人は私の知人に何人もいる。しかし、自分の英語力に自信がない人は日本人同士で遊ぶことが多いかもしれない。
―韓国の魅力は
伝統とモダンが融合しているところは魅力的だと感じる。林立する高層ビルに囲まれている古宮と寺院は昔の雰囲気を漂わせており、独特の都市風景になっている。ソウルなどの大都市は人口密度が高く、カフェでK―POPの芸能人に出会うこともある。
―日本人留学生へのアドバイスは
韓国語は日本語に近いので、ハングルの発音ルールをしっかり覚えればきれいな韓国語をすぐに身に付けられるだろう。もし言語の壁があれば、英語を怖がらずに使ってみよう。そして、大学ではさまざまな人に自ら話しかけ、交流範囲を広めてほしい。