学生が研究の最前線へ

 大学で学生はどのように研究をしているのだろうか。今回は学生として多元物質科学研究所でグラフェン(炭素原子が蜂の巣状に並んだ平面体)単離膜のレーザー加工の研究を行った、小林哲郎さん(工・修2)に話を聞いた。学生の研究の具体像に迫る。(渡辺湘悟)


グラフェンをレーザー加工

―今回の研究が始まったきっかけは
 僕が所属する研究室では、元々非常に短い時間で同じ波形のビームを繰り返し発射するフェムト秒レーザーの研究があり、薄膜に当てると100ナノメートルスケールで加工できることが分かっていました。そこで新たな研究に取り組もうと考え、注目したのがグラフェンでした。グラフェンは今まで他に優れた加工法がなく、我々のレーザーを使えばうまくいくのではと思い、研究がスタートしました。


―実際の研究にはどのように関わったか
 研究は1学年上の先輩が主導していて、開始から1年たった時に参加しました。実験の手法などはその先輩が考案していて、僕は実験をスムーズに進めるための準備や結果について議論するゼミに参加しました。基本的に研究は学生主体で進み、教職員の方々には実験のフィードバックやディスカッションをしていただきました。


―研究の課題や難しかったことは
 レーザーを打ってもグラフェンの変化が分からない。表面の状態が変わっているようだけど、その詳細が分からない。そうした分からないことに対して結論を出すのが大変でした。


―研究を通して得られたものは
 一言で言えば研究の楽しさです。学生でも最先端の研究ができること、そして実験で観測した現象の答えを自分たちで導けることがモチベーションにつながりました。


―高校時代に思い描いていた研究のイメージは
 高校時代はあまりはっきりとしたイメージを持っていませんでした。研究室に入ってみて、研究は良くも悪くも派手さや華やかさはなく、実直に進んでいくんだなということを感じています。